本日、死にました。

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もう決意は固まったようなものだった、私は目の前に置かれた紅茶を一口啜りそのままゴクリと音を立てて喉を潤した。 喉を潤したお陰で決意をしっかりと言葉にできそうだ。 アルバルトさんの瞳をしっかりと捉えて、その言葉を口にする。 「是非、私をここで働かせてください」 「リカさん……!!」 アルバルトさんの瞳が一気に光を宿し、キラキラと輝いた。 再び差し伸ばされた手を私は今度こそ掴んだ。 ありがとう!と何度も何度も感謝の言葉を述べるアルバルトさんの笑顔に、自然と私も釣られて笑顔になってしまう。 ここから、私の新しい世界が始まるんだ、そう思うとワクワクが止まらなくなる。 だが、その一方で自分の馬鹿者と笑顔を引き攣らせた。 給料の説明や、勤務時間等の重要な説明を全部吹っ飛ばして自らOKを出してしまった。 何をやってるんだ自分は!自らブラック企業と手を組んだ場合どう対処していいかなんてここの世界のルールなど一切知らないと言うのに。
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