本日、死にました。

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時計に目をやると、アパートを出る予定の時間が迫っていた。 鞄の中身をもう一度チェックして、気合いを入れ直しながら鞄を肩に掛けた。 スマホをスーツのポケットの中に入れて、ようやく履きなれてきたビジネスシューズに履き替えてアパートを出る。 「行ってきます!」 誰かに見送られるわけではないけれど扉を閉める前にそう呟くと、静かな部屋の空気が微かに震えたような気がした。 背中を押された気持ちになりながらも戸締りをしっかりとして、アパートの階段を一気に駆け下りる。 道路に出て近所のおばさん達に挨拶しながら住み慣れた町を歩く。 今日という本番に向けてこの間会場まで下見に行ったから、行き方も把握済みのお陰で迷子になるといった心配なことは今の所ない。 近所のバス停に辿り着き、そこからはバスに揺られて会場へとまっしぐら。 同じようにスーツ姿でいる同年代の人達は、もしかしたらライバルになるのか、それまた同期になるのかなんて考えているとあっという間に会場近くのバス停へと着いてしまった。 バスから下りて、あとは大通の交差点を渡って真っ直ぐ行って、2本目の道を左に曲がれば戦場が待っている。 前を歩く同年代の人達が同期になるといいな、なんて思いつつ気合いを入れながらそわそわしているといつの間にか青に変わっていた信号に慌てて横断歩道へと足を動かした。
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