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このかなり短い時間で私はおかしな行動を取ってしまっただろうかと、硬直しているとカルネさんは先程アルバルトさんが座っていたソファにそっと腰を掛けた。
まじまじと見られる視線が妙に擽ったく感じる。
「そんなに緊張しないで下さいよ。私なんか事務方で働いているただの下っ端に過ぎないですから。それより私、職場に女性が来るって事が嬉しくて嬉しくて!」
「他にその、女性の方はいらっしゃらないんですか?」
「そうなんです。だから仲良くして下さるとすごく嬉しいです」
「もちろんです!」
女性だけの世界はなかなかに厳しいものだと、同じサークルだった先輩がふと飲みに連れて行ってくれた時に言ってたことを思い出す。
この職場には私とカルネさんしか女はいないという事は、ドロドロとした女の世界を生き抜くことはしなくて良さそうだ。
その事に密かに安心していると、カルネさんは嬉しそうに私を見つめた。
「妹が出来たみたい。誰かに相談しにくい事とかあったら、遠慮なしに私に話して下さいね」
「はい!」
「さて。紅茶のおかわりはどうします?」
「あ、大丈夫です。ありがとうございます」
了解しました、と言いながらカルネさんは私が使っていたティーカップを手に取り最初入ってきた扉の向こうへと片付けた。
そのまま戻ってくると私に手招きをして、部屋の扉を開けた。
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