新しい生活のはじまりはじまり〜!!

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懐かしく感じる木の香りが鼻を擽りながら、私は辺りを見渡した。 神々しさなどは一切ない、極シンプルな廊下と何か書かれた小さなプレートが廊下に並ぶ3つの部屋の扉にそれぞれかかっている。 読めないと分かっていながらも、そのプレートをちらちらと見ながらカルネさんが渡り廊下へと向かう後ろ姿を追いかけた。 「この下の階は事務所になっていまして、それぞれの役職に一つずつ部屋が割り振られていますが社員が少ないので正面口のある一部屋で仕事をしています」 「デスクワークが中心なんですね」 「いえ、机に向かってるのは主に私と社長だけです。他は外での仕事ばかりですので」 「外仕事ですか?」 「はい。明日、直属の上司となる方をご紹介すると思うので詳しくはその方から聞いてください」 直属の上司というワードに、胸がドキドキし始める。 部活やサークルの先輩なんかじゃなく、仕事のできるエリート上司。 仕事ができるという喜びがひしひしと湧いてきて、思わずカルネさんの横へと足を動かした。 「私の上司になる方ってどんな人なんですか?」 「そうですね……お人好し、ですかね」 褒める言葉が出てくるかと思いきや、お人好しというカルネさんの持つ印象に、え?と自然と声が漏れた。
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