新しい生活のはじまりはじまり〜!!

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だがしかし、むわっとお風呂の湯気が私を包み込みその湯気の中に一つの影が揺れた。 脱衣所の床にゆったりポタポタと垂れる水が固まる私の耳にも届いてくる。 私の視界に広がるのは、ただの脱衣場だけだと思っていたのに予想外のものが飛び込んできて情報を処理しきれない。 「あれ……?昼間の転生者、さん?」 何となく聞いた事のある心地よい声だというのに、その声が余計に頭を真っ白にしていく。 b06efed0-0617-4113-b226-6a188f8944d6 「悪い。ここに住むことになるっていうのはアルバルトさんから聞いてたんだが、ド忘れしてた」 「え、と……!」 声を振り絞って出そうとしたのに、何をどう言っていいのか分からず何も喋れない。 そりゃあ誰しも、自分以外の人がいるは思わずにお風呂場の扉を開けたら、風呂上がりの男性の上裸を見てしまったら、第一声なんかスムーズに出るはずがないはずだ。 水も滴るいい男なんて言葉あるけれど、こういう時に咄嗟に出てくる感想は何もない。 筋肉が絶妙なバランスで引き締まったその上半身を持つその男性の顔を見て、私はもう理性よりも本能で体を動かすしかなかった。 「す、すみませんでしたあ!!!!!!」 一言だけ謝って、勢い良く扉を閉めて一目散に自分の部屋へと走った。
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