新しい生活のはじまりはじまり〜!!

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思っていた声とは全く違う声に、オドオドしながらも意を決して扉を開けた。 そしてまたしても予想外な光景に目を丸くする。 「初めましてだニャ。カルネ殿に頼まれて来たコテツニャ。どうぞよろしくニャ」 「ね、猫……?」 8b76d063-9892-4b48-9b4b-7bda086e49cc 二本足でしっかりと直立している赤いベストを着た三毛猫が、私の足元で口を動かして喋っていた。 私の膝丈しかないその身長だというのになぜか存在感が強い、強すぎる。 目をゴシゴシと擦ってみても、そこにはちゃんと猫がいる。 尻尾を左右に揺らして、ビー玉のようなキラキラとした瞳を私に向けている。 「ただの猫と一緒にしてほしくないニャ。我々はケット・シーという妖精ニャ」 「よ、妖精、さん?」 「そうニャ。まあ、転生して間もないから理解できないのも無理ないニャ。焦らずこの世界に慣れていくといいニャ」 「は、はい……」 猫にとり静められるとは、今までだったら有り得ない状況だ。 でもこれは紛れもなく現実で、猫の妖精に悟られているーー完璧に私が動揺していることに。 しかしそんな私に触れることもなく、猫の妖精のコテツさんが私のズボンの裾を引っ張った。
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