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屈んでコテツの目線に合わせると、コテツが手……というか前足を差し出してきた。
差し出された手を握り返すと、プニプニした肉球の感触が包む。
「これからよろしくニャ」
「こちらこそ」
「さてと!お風呂に行くニャ!」
そう言ってコテツは、握手していた私の手を握ったまま歩き出す。
前のめりになりかける私は咄嗟に立ち上がり、お風呂場へと向かう。
あ、流れでついて行ってしまっているが、あの男性は果たしてもうお風呂場にはいないだろうか。
コテツがいるにせよ、会いたくはないなあ……。
そう思っていた私に神様は味方してくれたのか、脱衣場にはもう誰もいなくなっていた。
湯気が立ち込めていたはずだが、あの湿っぽさはどこにもない。
床に垂れていた水も綺麗に拭かれている。
後に使う人のことも考えて使ってくれる同居人とは、何とも有難い。
「コテツが綺麗に掃除しておいたから、安心して使ってくれニャ」
「え?コテツが?」
「ニャ?そうだニャ。ささ、綺麗サッパリするのニャ!」
ぐいぐいと手を引っ張られたまま、脱衣場へと入った。
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