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立派な鐘の音に、おお〜!と内心興奮していると、妖精達は一気に水を運びに街の空へと飛んで行った。
その姿に気をつけてと小声でぼそっと呟きながら、一人見送った。
さて、これからどうやってキサギさんを見つけようかと腕を組んで考える。
お互い初対面な訳だし、もしかして会えなかったりして。
でもここで待ち合わせしたことだし、行き違いになるようなことはないだろう。
どうやって探そうと考えを絞り出していると、後ろからポンと肩を叩かれた。
「わっ!」
驚きのあまり思わず声を出してしまい、咄嗟に手で口元を覆った。
「時間通りだな」
そう肩を叩いたであろう人物を見るために、振り返ろうとするものの何故か嫌な予感がする。
ただこのままじっとしているのも流石に失礼だ。
勢いで何とかなってしまえと振り返ったその先には、
ーー昨夜脱衣所でバッタリ遭遇してしまったあの男性がいた。
「迷わず来れたみたいで安心したよ」
「えっと、あの!その!!!」
謝らなきゃ、昨日あんなことをしてしまったんだから。
ノックもせずにズカズカと入り込んだ挙句、見てしまったのだから。
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