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そんなオロオロしている私にはお構いなしに、男性ーーこれから先輩になるであろうキサギさんは笑顔を向けた。
「ビックリさせた?いやあ、昨日会った時に自己紹介って思ってはいたんだけど、なんかこういうのってインパクトあった方が楽しいかなって思って黙ってた。ごめんな」
いや、普通に会ったならまだしも!脱衣場!しかもあなた上裸を見られたんですよ!!
ツッコミたい気持ちが溢れる中でも、キサギさんは一人笑っている。
こんな状態で謝るのがすごくすごく恥ずかしくなってくる。
いやでもここはきちんと謝っておかねば、示しがつかないところである。
ここはモヤモヤした気持ちをずっと残したまま、仕事をし続けるのは嫌だ。
一呼吸置いてから、私はその場で頭を深く下げた。
「昨日はすみませんでした!」
初対面の人の、しかも先輩になる人の上裸を見てしまった。
事故だったとは言えども、私個人として謝っておきたいことなのである。
「え?どうした?」
「昨日、その……脱衣場で、見てしまった……ので」
先程の謝罪に比べてどんどん声量が小さくなっていっていると思いつつも、顔を赤くしないように落ち着かせるので精一杯だった。
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