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だがこれからは実際の仕事に入るんだ、気を引き締めようとゆったりとした道を迷子にならないように、キサギの後ろにピッタリ着いて歩く。
煉瓦で敷かれた道は、コンクリートとは違う感触が足の底から伝わってくる。
気を引き締めたつもりだったが、視界に入ってくるもの全部に感動の声をあげた。
すれ違う人には様々な種族があり、また装備も違う。
鎧をつけた人、魔法使いの帽子を被った人、頭からヤギのような角が生えてる人……など、私のいた世界では有り得ない光景だ。
それに車という便利な乗り物は一切見当たらず、その代わりに使っているであろう馬車がそこら中に見えた。
中には鱗の生えた大きなトカゲと言っていいのか分からない生き物を飼い慣らしている人もいる。
「す、すごい……」
「頭がパンクしそうな程に、情報量多いだろ?」
「異世界なんだなあ……って実感します」
腰に剣を下げている人は、あれは俗に言う剣士とかいう人なのだろうか。
ファンタジー系のゲームはそこまでやってこなかったから、知識があまりない。
今更ながらもう少しやっておけば良かったなんて思うのも変な話だ。
色々とキョロキョロしている私を見て、キサギが口を開いた。
「この国は、東西南北に別れててそれぞれの区画によって街の特性が変わるんだ。今いる場所は冒険者がよく利用する街で、色々な国の様々な人種が訪れる場所なんだ」
人種という言葉に、確かに人間という種族以外にも見た事のない姿形をした人達がいる。
でもそれはここでは当たり前の風景で、変な目で見たり差別しているといったことはない。
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