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「私、ここのギルドで受付を担当させていただいてます、ベルカ=エルリータです。困ったことがあったらいつでも話しかけてくださいね!」
「あ、はい!こちらこそ、これからよろしくお願いします」
明るいベルカさんにオドオドしていた私が背中を押されるように、挨拶を交わす。
ぺこりと頭を下げるベルカさんの動作で、左右に揺れるの淡い桃色の髪のポニーテールが、ふわりと揺れる。
優しいオーラに包まれたベルカさんだけれど、見るからに私よりかは年下の子。
そんな相手に困らせるようなことはしたくはないので、細心の注意が必要だろう。
下手に私から色々言うのは絶対にしてはいけないと、挨拶を終わったよとキサギに目で合図を送る。
私の合図を受け取ったキサギは、カウンターに身を乗り出すようにして奥を見渡した。
「ギルド長に用事があって来たんだけど、その当の本人が見つからなくて」
「先程まで、とある遠方の方と交渉があるからと別室にいらっしゃったんですけど……終わったのかな。ちょっと確認してきますね」
そういって奥の部屋へと向かうベルカさんを見て、キサギが一つ安堵の溜息を零した。
キサギを見れば、片手を上げて申し訳なさそうな顔をする。
「名前のことも言っておけば良かったね。何とか誤魔化せたみたいだけど、これからは簡単にリカです、とでも名乗っておけば大丈夫だから」
「苗字は言わない方がいいってこと?」
「今はリカで通してくれると助かる。何かあったら俺もフォロー入るしさ」
「分かった。ありがとう」
何がダメで良いのか分からないから、ここは素直にキサギの言うことを聞き入れるのがベスト。
疑問はいくつかあるけれど、今はそれを聞くときではない。
落ち着いたら聞かせてもらおう。
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