新しい生活のはじまりはじまり〜!!

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ベルカさんが戻ってくるのを大人しく待っていると、後ろからふと誰かが近づいてくる気配を感じた。 邪魔になっているのかもしれないと、その場で少し横にズレようとすると何かにぶつかった。 「ご、ごめんなさい!」 咄嗟に謝りつつ後ろを振り返ると、こんがり焼けた肌に筋肉質な大男が背後に迫ってきていた。 驚きのあまり息を飲むと、キサギが反応してこちらを見た。 「なんだ〜?こんな朝っぱらからデートか?キサギ」 威勢のいい声が私の鼓膜を大きく揺らす。 その大男の威圧感が凄いせいで、背筋がぴんと勝手に伸びるのが分かる。 「なんだ〜って、昨日ちゃんとここに連れて来るって話したじゃないですか」 そう答えるキサギは呆れたように、その大男相手にため息混じり呟いた。 「冗談だ、キサギ。朝一番に来いと言ったのはこの俺だしな。仕事が来る前にと思ったのに、あんな朝っぱらから来る輩がいるのは予想外だったがな」 「あ、(マスター)こちらにいらしたんですね!」 口をへの字に曲げた大男がこちらに戻ってきたベルカさんにそう呼ばれて、片手を上げた。 「悪いなベルカ。次は俺の部屋でキサギとの用件を済ませてくるから、何かあったら俺の部屋に呼びに来てくれ」 「了解しました。では、キサギさん、リカさんまたお待ちしておりますね」 「またな、ベルカ」 大男が進む方にキサギも進んでいくのを見て、慌てて私もベルカさんに挨拶をして2人の後を追う。 今日はやたらと追いかけっこの日になりそうだ。
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