新しい生活のはじまりはじまり〜!!

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たくさんの人がいるロビーを抜けて、奥へと続く廊下を暫く歩くと大男が突き当たりの部屋の扉を開けて入るよう促した。 キサギの後ろに続くようにして、部屋の中へと入る。 「簡単に済ませるからリラックスしてくれよ。えーっと、名前は?」 扉を閉めて、木製の大きなワークデスクから書類を見つつ大男は私をチラリと見た。 「あ、リカです。よろしくお願いします」 「初めまして、リカ。俺はここのギルドの長、ヴェルギール・ガートだ。よろしく頼む」 差し出された右手をおずおずと握り返しながら、その腕力に体を持っていかれそうになる。 「ヴェルさんは、この国で唯一俺らの本来の仕事を知っている人だ。何か困ったことがあれば、頼るといい」 「そんな俺を万屋みたいに扱うな、キサギ。誰かさんみたいに仕事を増やされてく一方の身にはなりたかねぇよ」 「そう言いながら、俺らのことを親身に考えてくれる優しい人だから怖がらなくていいからね」 「お前みたいなお人好しでもないっての!ったく」 見た目は怖そうな人だけど、キサギがいい人と言うならばここは信用しておこう。 怒ってるように見えて、少し恥ずかしそうに鼻をかくその姿に頬が緩んだ。
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