株式会社 異世界転生スローライフ

新しい生活のはじまりはじまり〜！！

カタリとガラスペンを机の上に置くと、ゆっくりと自分の書いた文字がゆらりと揺れ動く。

意志を持って動くその文字達は徐々に色を変え、紙の上から浮かび上がった。

「汝、ここに名を残し証となれ」

そうヴェルギールさんが唱えると、机の上の幾何学的な紋様と、文字が共鳴し合うように眩い光を放った。

その光が礫となり、光が消えたその机の上には紙は消えていた。

しかし紙の代わりに一つの小さな銀プレートが出てきた。

そこに書かれていたのは、ギルド証明書 リカ・カンザキ と先程私が書いた文字が彫られていた。

「これで証明書の作成は終わり。その証明書を使ってーー」

ヴェルギールさんが手際良く作りたての証明書で、ギルド登録に通行書の発行まで準備してくれた。

私の出る幕もなく、あっという間にミッションコンプリートだ。

「これで全部だ。一応証明書の出身地はここ、カイアレフ王国にしておいた。詳しく証明書を調べられるなんてことはないが、万が一に備えてな」

「おお〜！細かい所までありがとうございます！ヴェルさん」

「前例がないからな。備えておくことも必要だろう。キサギも十分そこん所は気をつけてやれよ」

「分かってますよ」

「じゃあ、今日からリカは俺のギルドの一員だ」

そう言って手渡された証明書を私は無くさないように、すぐさま鞄の中に仕舞いお辞儀をした。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「おう」

ニッと笑うヴェルギールさんに釣られて、私も笑顔を返した。