新しい生活のはじまりはじまり〜!!

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一呼吸置いて、キサギが口を開こうとするがその前にヴェルギールさんがそれを止めるかのように発した。 「登録して直ぐにってことになってしまうんだが……ちょっと御二方に調査を依頼したい」 先程のまでの和やかな空気が打って変わって、ヴェルギールさんの真剣な声に空気が一気に変わった。 言いにくそうにしているヴェルギールさんに、キサギは何故か腕を組んだ。 「俺達に直接依頼は禁止ですよ。それは俺達が勝手に判断を下して動いていい事じゃないことぐらい知ってるでしょう?」 「なんだよアルの野郎。話通しておくって言っておいて、伝えてないのかよ…」 「え?何の話ですか?」 驚くキサギに呆れ顔のヴェルギールさん、私はそんな2人の噛み合わない表情に首を傾げることしかできない。 すると、ヴェルギールさんが棚から束になった書類をキサギに突き出す。 「ここ最近起こってる、妙な畑の荒らし行為だ。魔物の仕業かと思って様子を見ようとしたが、被害届が出ているのはスウィリー区内。農業地区だとしても、門の中への魔物の侵入は考えられない」 「……畑荒らしなんて今の時代、動物が畑を荒らしたとしか思えないんですが」 「まあ普通に考えたらそれだろう。ただな、何の畑が荒らされてると思う?」 書類に齧り付くキサギにヴェルギールさんは、何故か小さく嘲笑うように見つめていた。 「ポーションの薬草だ」 「薬草……」 「多少の擦り傷になら傷に擦り込む分になら作用するが、ポーションのような作用は発揮しない。そもそも動物避けの魔術具があそこには設置してある。さて、この荒らしの答えは一体なんだ?」 「あの……どういう事でしょうか……」 キサギが真剣に考えを導き出そうとしている中、私は話についていけず白旗を上げるようにそう呟いた。
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