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「リカにはまだこの世界に馴染んでないから、少し話が難しいか。簡単に言うと畑荒らしの原因が、人間以外の何者かによって起こされていることは確かなんだがな。動物や魔物という回答も不正解に近い。何が原因かが分からないって言うことだ」
「その荒らしの原因を、突き止めろ……っていうことですか?」
「そういう事だ。もしかしたら、世界の均衡が崩れる可能性も出てくるからな」
「?」
簡単に説明してもらったのに、よく分からないのは私が単純に馬鹿であるということだろうか。
それともこの世界の仕組みをまだ理解していないせいだろうか。
仕事と言えど、どんな仕事をするのかもはっきりとしたものを教えてもらっていない。
ここはキサギに回答をもらった方が早い、そう思ったがキサギの顔を覗けば瞳に輝きを灯していた。
「アルバルトさんには、話は伝わってるんですよね?」
「アルに伝えただけじゃない。カルネ嬢にも依頼書を通して貰ってある」
「つまり、これはもう仕事の契約は上で受理されてるって事ですね」
「おうよ。ここでお前に話して、アルに依頼した所であいつの仕事が増えるだけだろうと思ったからな。先に行動させてもらったさ」
「では、依頼承認しました。調査に行きます」
ここでも話がどんどんと進展していくばかりで、私は置いてけぼり決定のようだ。
ここはとにかくキサギについて行くことが私の仕事だと、勝手に気合いを入れさせてもらった。
「リカ」
気合いを入れた私にキサギが嬉しそうに笑いかけてくる。
「初仕事だ」
「はい!」
期待に添えられるようにただ私は動けばいい。
とにかく、言われたことだけをこなすことに集中しよう。
こうしてよく分からないまま、私の初仕事は幕を開けた。
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