家族の想い愛…!なんちゃって。

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ほのぼのしたこの風景を眺めつつ、しばらく歩くと小さな町が見えてきた。 荷台を運ぶ人達の間を通り過ぎ、事件があったと報告されている場所へと進む。 事件が起きているというわりには穏やかで、事件が起きているからピリピリした空気が流れていると考えていたがそうでもなかった。 目と目が合えば誰しもが挨拶をしてくれる、そんな和やかな場所。 すれ違う人達もせかせかしているわけでもなく、自分の時間にゆとりを持って行動していた。 特にこれと言って怪しい点も見つからないような場所で、事件の発端を見つけるのはなかなか難しそうだ。 「キサギ、ここからどうするの?町の人達に聞き込み調査とか?」 事件現場での目撃情報など集めた方が、確実に原因という名の犯人を突き止めることが出来そうだ。 そう思っていた私だったが、キサギは首を縦に振ることはなかった。 「俺達の仕事の内容が外に流れるのは絶対あってはならない。極秘任務だからな」 「そうなんだ……!」 確かにアルバルトさんも秘密組織みたいな話をしていた気がする。 仕事をする上で自分達のことがバレないようにしながら進めていかなくてはいけない、ということなのだろう。 でもどうやってこれから事件を解決していくのか、全く見当がつかない。
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