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キサギは手折られた薬草と同じ高さになるようにしゃがみ込み、そっと地面に触れた。
するとラップのようなバリアがズレるようにして透明な膜が揺れ、一時的にバリアが消えた。
「あ」
「そういうことか」
「キサギ、何が原因か分かったの?」
ピンときたとでも言うように、キサギは私に向かって得意げに笑みを見せた。
そして地面を指さしながら、何かを唱えた。
「これを辿ればもう俺らが行くべき場所にたどり着くさ」
すると畑の地面から金色の光がぽうっとゆっくりと現れたかと思うと、それはいくつもの足跡になって私の目に映り込んできた。
「これって、犯人の?」
「畑の持ち主の足跡は地面にくっきり残ってる。だが、これは魔力を感知する魔法でしか見えない足跡。つまりは犯人、と俺は推測できると思う」
「じゃあこの足跡を辿れば、犯人の居場所も突き止められるんだね!」
「行ってみなきゃ分からないが、可能性は大だな」
流石魔法が進化している世界なだけあって犯人探しも魔法でこうも簡単に捜せてしまうのか。
あっぱれと心の中で拍手を送った。
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