家族の想い愛…!なんちゃって。

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どこかキサギだけズルいなんて変な感情が見え隠れしたが、キサギはその大きな木に近づき私にも隣に来るように促した。 促されるまま私はキサギの隣へと足を運ばせた。 私を見るキサギにどう反応していいのか分からずにいると、キサギが片手を前に突き出し木に手を触れた。 「リカも」 「え?こう……?」 しっとりした木の幹の皮の感覚が手の平に伝わってくると共に、不思議な幾何学的な模様が描かれた円が木の幹に刻まれていく。 怖くなって手を引っ込めようとするが、その前にキサギが手を重ねてきた。 「大丈夫。このまま」 「う、うん」 ごくりと唾を飲み込み刻まれていく模様を見つめているとその円が突如、光輝いた。 目を瞑ることしか出来ずに、いると風がふわりと舞い上がる。 「行くよ!!」 キサギがそう言うと共に、体が宙に浮くようなそんな感覚に襲われて思わず目を開けてしまった。 「っ……!」 視界に飛び込んできた光の粒は、私の体を覆い被さるように広がっていく。
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