家族の想い愛…!なんちゃって。

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髭を撫でながら村長は、一つ小さく頭を下げ私に申し訳なさそうな瞳で私を見つめた。 「嫌な思いをさせてすまんのう、お嬢さん」 「い、いえ!」 「名乗りが遅れてすまんのう。わしはこのブレイヤー村の村長、カリントゥと申す。よろしく頼むな」 「リカです。突然お邪魔しちゃってこちらこそ申し訳なかったです」 謝るのは寧ろこちらの方だと、慌てて私も頭を下げた。 そんな私達を見て頷きながらも、キサギはチラリと周りを見渡し腕を組んだ。 そんなキサギの様子を見て、カリントゥ村長も同じように辺りを見渡した。 「さてキサギ。この村にどんな用事で参った?」 「実はーー」 キサギがこれまでの事情を説明しようと口を開いたその時、一つの足音が近づいてきた。 「じっちゃーーん!!」 その足音と共に明るい男の子の声が大きく響く。 カリントゥ村長の元へと駆け寄ってきたゴブリン族の男の子は、私達の姿を見るなり少し強ばった表情を見せた。
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