家族の想い愛…!なんちゃって。

13/53
前へ
/340ページ
次へ
「や、やっぱり忙しそうだし後で言う!また来る!」 そう言って回れ右をして走り出そうとする男の子を、カリントゥ村長は首根っこを掴み眉間にしわを寄せた。 「マンシュ……お前も一緒に話を聞いてもらおうかのう」 「え、いや、ほら!お客さんが来た時は俺は邪魔しちゃいけないからっていつも外に出すじゃん」 「拒否権はなしじゃ」 「そ、そんなあ!」 「では、我が家に案内しようかの」 その男の子ーーマンシュくんを道ずれにとでも言うようにズルズルと連れて行かれる男の子に苦笑しつつ、その後を追うことしかできなかった。 案内されるまま長い長い梯子(はしご)を登り、カリントゥ村長の家へと辿り着く。 上を見上げれば立派な木々が気持ちの良い木陰を作り、私達を迎えてくれた。 家の中へお邪魔すると、木独特のいい香りが肺いっぱいに広がっていく。 「好きな場所に腰掛けてくれ」 「失礼します」 一言声をかけて、可愛らしい切り株の椅子に座るとマンシュくんがこちらをじとーっと見つめていることに気づき、とりあえず口角を上げて見せた。 しかし私のその作り笑顔に、マンシュくんは顔をそっぽに向け頬膨らませていた。
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

266人が本棚に入れています
本棚に追加