家族の想い愛…!なんちゃって。

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ああ、これ私完璧にやらかしたやつだ。 子供相手に大人気ない対応をしてしまい、非常に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 どこも見る勇気が出なくて、とりあえず自分の足元を見つめることしかできなくなった。 カリントゥ村長のため息が部屋に小さく響き、しばらくの間無言の時間が流れた。 「その畑は、一体なんの畑なんじゃ」 「薬草です」 沈黙を破ったカリントゥ村長の問に、キサギはなんの躊躇いもなくそう答えた。 「薬草、か。マンシュ、自分が何をやっているのか理解しておるのじゃろうな」 声のトーンは何も変わらないというのに、カリントゥ村長の声に怒りが混じっているのは確かだった。 もう少し慎重に話していればこんな空気にはならなかったのにと、後悔しつつ私は恐る恐るマンシュくんを見た。 マンシュくんはバツが悪そうに、小さな声で話始める。 「そんなこと分かってるに決まってる」 「馬鹿者。人様の土地を荒らすなんぞ……そんな事をして誰の得にもならぬじゃろう」 「こうでもしなきゃっ!!キナのためなんだ!!」 今にも泣き出しそうなマンシュくんはそう吐き出すように言うと、そのまま走って家を飛び出して行ってしまった。 この状況にどうしていいのか分からず、無性に痛む自分の心に叱咤することしかできなかった。
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