家族の想い愛…!なんちゃって。

18/53
前へ
/340ページ
次へ
静かに通りすぎる風に、私ただ耳をすませることしかできずにキサギの言葉を待った。 初日でこんなに出しゃばって、何を考えているんだこの女は。 なんて思われてしまっても仕方ないかもしれない。 言葉にも行動にも全て『責任』が着いてくるのを忘れちゃいけなかったのに、感情任せに言ってしまった自分が情けない。 怒られるか呆れられる、それまたそのどちらでもないか。 始まったばかりの私達のこの関係を積み上げるのは大変なんだろうな、なんて思いながら俯いた。 「……アルバルトさんの目は本当に正しかったな」 返ってくる言葉を予想していたけれど、どれも当てはまることもなく頭に優しい温もりを感じた。 「そうやって発言してくれて嬉しいよ、リカ」 「え……?」 怒られると確信していたのに、あまりにも真逆なその言葉にすぐさま顔を上げキサギを見た。 優しく頭をポンポンと撫でながら、そっと微笑む。 「仕事が解決させられれば全て終わり、なんて俺たちの会社にはそんな方針は全くない。誰かの幸せのために俺たちは動くんだ」 「じゃあ、魔力で全て解決っていうのは……?」 「リカがどう思うのかなあ〜ってちょっと試してみたかっただけ」 からかうような笑みを浮かべたキサギは、私の頭を撫でていた手を離し今度は私の顔の前で親指を立てた。
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

266人が本棚に入れています
本棚に追加