家族の想い愛…!なんちゃって。

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なんだ、最初からそのつもりでいてくれたんだ。 キサギと同じ考えで意見をちゃんと言えた自分に拍手を送っていると、キサギは一つ頷いた。 「よし!ここから先は二手に別れて動こう。そっちの方が効率良く動けるだろうし」 「私は、何をしたらいい?」 「リカはさっきの少年に話を聞いてきて原因を突き止めてほしい。俺は一先ずアルバルトさんの所へ戻ってとりあえずの報告をしてくる。報告次第こっちへ戻ってくるから、そこからまた二人で考えよう」 「分かった!」 「じゃあ、こっちのことは頼んだ!すぐ報告終わらせて戻ってくるから!」 そう言いつつも早足で去っていくキサギを見送りつつ、私も行動し始める。 さっき飛び出していったあの男の子の居場所を突き止めて、話を聞こう。 理由がないのに、そんなやってはいけないことに手を伸ばしそうな子じゃなかった。 きっとあの子には理由があって、そうまでしなきゃいけない何かがあったんだと思う。 ただ私の中で推測した所で、何も解決しない。 今はあの男の子がどこへ行ったのか、それを調べなくては。 全く違う人種だろうけど、言葉が通じるという強みがあるから私はなんの迷いもなく近くを歩くゴブリン族の人に声をかけた。 「すみません!少しお聞きしてもよろしいですか?」 「おん?見かけない顔だなあ」 「私、キサギさんのお供で着いてきたリカと言います。あの、カリントゥ村長さんの所の男の子を見かけませんでしたか?」 「ああ、マンシュのことか?それならさっき川沿いの道の方に走っていくのを見かけたよ。この道をまっすぐ行って、突き当たりの道を左に曲がっていけばすぐ着くさ」 なんと親切な……!道まで教えてくれるなんて!! そして転生した時に言葉を自由に使えるようにしてくれた神様に感謝!! 教えてくれた人にきちっとお礼の言葉を述べて、そのマンシュくんが向かったであろう川沿いの道へと急ぐ。
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