家族の想い愛…!なんちゃって。

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そんな事を考えながら小走りで走っていくと、ハッキリと水のせせらぎが聞こえてくる。 小川が流れる川沿いの道をしばらく息を整えつつ歩くと、小さな人影がしゃがんでいるのが見えた。 私の足音に気がついたのか、じっとこちらを見つめている。 マンシュくんの側へとそっと近寄ると、バツの悪そうな顔して私の瞳を捉えた。 「何しに来たんだよ……」 「さっきはごめんなさい」 ここに来た理由よりも先に、私は自分の言動に対して謝りたかった。 誰も不愉快な気持ちにならないような話し合いをするべきだったのに、魔法という慣れないものに少し興奮していた部分があった。 足跡の主を見つけたという興奮のあまり、私は何も考えずに口走ってしまったのだから。 光っているマンシュくんのその足は、きっと小川でゴシゴシと洗ったんだろう。 足元には水滴がついていて、強く擦った跡も残っていた。 「別に。謝られることなんかしてない。俺が全部悪いんだから……」 「それにも理由があったんだよね?」 「……」 下唇を噛み締めるマンシュくんの顔は、今にも泣き出しそうだ。 いきなり本題に入るのは、流石に無理があるだろうか。
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