家族の想い愛…!なんちゃって。

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ゆっくりとマンシュくんの隣に座り、私も一緒に流れる小川を見つめた。 私も幼い頃は、悪いことをしたらこんな風にどうやって謝ろうかと公園の隅で蹲ってたなあ。 きっとマンシュくんも、カリントゥ村長にどう謝ろうか考えてるのかな。 「遅れちゃったけど、私はリカ。まだこっちに来て日が浅くて、分からないことだらけなんだ」 名前すら名乗った記憶がなくて、とりあえず少しでも打ち解けられるように自己開示を始めた。 知らない人に事情を話すことは、精神的に苦しい部分が多いのはよく知っている。 面接官にあれやこれやと聞かれるのは、本当に緊張するしとにかく目が怖い。 そんな経験をしていた真っ只中だったから、尚更マンシュくんの置かれている状況が分かる。 だから、私は問い詰めない。 話しやすい環境と、関係を最優先にしていこう。 「キサギともね、恥ずかしい出会い方しちゃって最初は本当に気まづかったの。もう目と目を合わせられないっていうか、もう顔から火が出そうだった」 「それってよっぽど恥ずかしい事しなきゃそんな風にはならないよね?」 「あはは……キサギのお風呂上がりにバッタリしちゃって……」 「あーあ。でも逆に見られなくて良かったじゃん」 クスクスと笑うマンシュくんを見て、バレないように安堵の息を零した。 恥ずかしい出来事だけど、笑いのネタになるということが分かっただけ良かったとしようではないか。
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