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小学3年生の頃に人形のおもちゃで遊んでいると腕が取れてしまった。恐る恐る人形のネジを外して中を見てみると、プラスチックの小さな部品が折れていた。接着剤でくっつけてみたが細い部品だからか直ぐに取れてしまい修理できずにいた。
この時、同じものを作るという発想が生まれた。壊れた部品を粘土に押し付け型をとった。そこにプラスチックを溶かして流し込んだ。熱を持たないから粘土が溶けることもないし、プラスチックを溶かすことを止めた時点で瞬時にプラスチック本来の固さに戻る。新しい部品の完成だ。以降、私は彫刻を学び同じものを作ることを練習し覚えた。
実生活でこの能力を便利に感じるのは、開け口のわからないビニール包装を剥がす時くらいで、普段使うことは殆どない。
テレビや漫画の世界ならば、悪と戦うヒーローもしくは悪そのものになり、敵を倒すために能力が役立つかもしれない。だが、現実社会では人を溶かすと殺人になってしまうし、物を溶かせば器物損壊になってしまう。もはや、犯罪以外に使い道がないんじゃないかとすら思ってしまう。そうじゃなくても物を溶かす女なんか気持ち悪い存在でしかないのである。
現在はごく普通のOLとして働き一人で生活している。超能力を持っていても使うことがほとんどないので持っている意味がない。しかし、それは私が望んだ生活なのである。
それにも拘わらず、今、私が置かされている状況が納得できないでいる。
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