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桜並木を抜けると、景色は急に賑やかになる。片側二車線の広い道に、たくさんの車やバイクが通っていく。マンションやお店が建ち並んでいる駅前通り。駅まで、歩いてあと10分ってとこか。 「…ていい?」 「ん?なに?」 信号待ちしてる間に、大輝が何か言った気がした。大輝の左側にいた俺は、とっさに大輝の左肘のあたりのブレザーを掴んで、背伸びをする。 「ごめん、聞こえなかった。今、なんて?」 大輝は一瞬驚いたような顔をして、すぐに笑顔に戻って言う。 「明日、悠斗んちに行っていい?久しぶりに、悠斗んちの猫にも会いたい」 明日は入学式。高校2年生は、12時には完全下校の日だ。午後には、新1年生と3年生の代表による、部活説明会があるため、明日も、どの部活も休みになっている。 そういえば、去年、サッカー部の説明を聞いた時、キャプテンの隣にマネージャーがいたような気がする。なら、明日は一ノ瀬とデートしようにも、一ノ瀬が忙しくてできないのかもしれない。 「いいよ。ちょびとむぅすも、大輝に会いたがってると思う」 明日、大輝が家に来るってだけで、心がふわふわと弾む。俺は、2匹の子猫たちに、心から感謝した。
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