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「嘘だろ…」 見慣れたブレザーの後ろ姿。 おそらくバスケの道具が入っているであろう、四角い大きなバッグ。 サイドとバックを短く刈り込んだ髪型。 180センチ以上ある背たけ。 ちらりと見えた横顔は、彫りが深くて整った顔つきをしている。 間違いない、あいつは佐藤 大輝(だいき)だ。 高校1年生の時から同じクラスで、何かと気があう奴。ちょっとクサイけど、親友、って言ってもいいくらい。 その大輝が… …女の子とふたりきりで、街を歩いてる。 「これって、デートってやつ?」 もう高校2年生なんだし、まわりにはカノジョ持ちの奴もいる、 が… 「なんでだよ…大輝…」 胸が苦しい。 激しい動悸とともに、軽い頭痛を感じる。 涙が目に膜を張り、気を抜いたらこぼれ落ちそうだ。 「ああ、そうか…」 なあ大輝、俺、お前のこと、好きなんだ。 やっと、自覚した。自覚できた。 自覚したとたん、失恋した。
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