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心臓が跳ねる。 「大輝…」 「悠斗、大丈夫か?大会近いからって頑張りすぎだよ。身体は大事にしなきゃ。」 大輝は笑うと目尻に皺ができる。優しい微笑みに見惚れていると、大輝は俺の方に近づいてくる。 俺のおでこに、大輝の大きな手が触れる。包み込まれる。 ドクン。 心臓が、激しく音を立てた。 おでこに、全部の意識を持っていかれてるみたいだ。 「まだ身体が熱いね。自販機でスポーツドリンク買ってきたけど、飲む?」 大輝の手が離れ、視線もベッドの下に置かれた荷物の方に向いた。俺は気づかれないよう、そっと息を整えた。 「これ、スポーツドリンク、よかったら飲んで。あと、お前の荷物はここに置いとく。お前の制服もここに入れとくから。あと…」 大輝は白いビニール袋を差し出す。 「俺さ、バスケ部の部室に、汗かいた時用に、下着置いてんだよね。新品じゃなくて悪いけど、悠斗、お前すげえ汗かいてるし、それじゃ気持ち悪いだろ。サイズはちょっと大きいかもしれないけど、ブレザーの下なら分からないだろうから、良かったら使えよ」 「おお…サンキュ。助かるわ」 「いいって。じゃ、俺授業あるから戻るけど、悠斗、お前はゆっくり休めよ。じゃ、あとで教室でな」 目尻に皺を寄せた優しい微笑みで、軽く右手を振って、大輝はベッド脇のカーテンを閉め、保健室を出て行った。
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