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嫌われてしまった・・・。明慶は途方もない絶望感を味わっていた。 ずっとずっと心の中だけにしまっておいて、大切にしてきた彼への思い。 自分の表情筋のせいで一瞬にして壊れてしまった。 「――――さま。明慶様っ!聞いてますか?」 柳ヶ瀬が呼ぶ自分の名前もどこか遠い所で聞いているような気分だ。 「あぁ、うん、うん?何?ごめんもう一回言ってくれないか?」 心ここにあらず、なのは皆が承知している。 実は真絹も明慶の気持ちを知っていた、バラしたのは夫の竜聖だが。 彼の一途なまでの想いを知らないのは芙蓉本人だけである。 「あの、先ほど管理局より私宛にデータが送られてきました。今日ここでの  お目通しの事は国事ですので、フェロモンに変化があればすぐに開示される  様になっております。・・・それで・・・その・・・。」 「大丈夫だよ、まきちゃん。こいつらが何か言ったらすぐに俺の鉄拳制裁  が飛ぶようになっているんだから。」 いつからそんなシステムが出来上がったのだろう。 仮にも次期将軍がいらっしゃるというのに・・・。 真絹は夫の暴君さながらの行為に申し訳ない気持ちになりながら続けた。 「―――本日、3名のデータがレッドまで振り切れました。誠に珍しい事で  まことにめでたい事でございます。まず1人目は・・・ここにいない事で  おわかりかと存じますが、木蓮でございます。木蓮のフェロモンに合致した  アルファの方は・・・。」 明慶はじっと目を閉じて真絹の言葉を待った。 もし、ここで自分が指名されたならばそれは仕方のない事。 側室を迎える気などない自分は、木蓮を大切にしなければならない。 ただ、自分は木蓮のフェロモンに充てられた感じはなかったため、抑制剤が効きすぎてしまっているのか・・・抑制剤の研究ももっと掘り下げなければならないと、次の政策まで考えていた。
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