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木蓮が幸せになれるのならば、自分が何かを望むことなどなにもない。
芙蓉は、柳ヶ瀬の言葉を聞いてとても柔らかい笑みを浮かべ言った
「柳ヶ瀬様、木蓮は気が強く本当は結婚よりも自立を望んでおりました。
ですが、出会ってしまったのであれば受け入れる覚悟はできています。
どうか、木蓮が裁縫の商売だけはやりたいと申しましたら、許してやって
は頂けないでしょうか。」
真絹は正直驚いている、芙蓉がこんなにも誰かに願いを言うことなど今までに1度たりともなかった。
しかも、真絹が知る木蓮と、今芙蓉が語る木蓮とは全く違う人物のようなのだ
「僕はまんまと木蓮に騙されていたようだね。だけど、何故だろうね。
全然悪い気がしないんだ、むしろ、お前たちしっかり考えていたんだね」
真絹は目に涙を浮かべながらこの子達の成長を喜んでいた。
花の名を頂いた2人の不仲説も度々耳に入ってきたこともあった。
でも、そんな事実はなく、本当は互いが互いのことを真剣に思い合える素晴らしい親友になっていたのだと。
「ーーーーまきにいは、少し自分を大切にするべきだ。お腹の子が怒ってる
多分僕ならすっごい反抗しちゃうと思うよ?」
芙蓉の言葉に敏感に反応した竜聖が真絹のお腹を撫でながら心配そうに話しかけていた。
明慶は芙蓉の凛とした物言いと慈愛の満ちた言葉にウルウルと涙ぐんでいた
「明慶様…ちょっとうっとおしいです。」
柳ヶ瀬のキツイ一言で涙も引っ込んでしまった。
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