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「わたくしは当然木蓮を自分の妻にさせていただきます。あと、今発情期
を迎えてしまったんですよね?」
柳ヶ瀬は真絹に今の状況を淡々と確認しだした。
決断してしまえばこれから先の物事の進行はサクサクと進めていく。
これが柳ヶ瀬という男だ、そもそも決断力も早い。
「はい、柳ヶ瀬様にお会いして反応してしまいました。今は薬でなんとか
抑えている状況ですが…。出来れば…その…。」
流石にこの先の言葉は言いにくい。誰しもが分かっている事とは言え
この先の、貴方の性が必要です なんて言えない。
竜聖はしとやかな真絹の口からその言葉を聞きたくてうずうずしている様だが
「うっ、うんっ!わ、わかりました。では、しばらくわたくしと木蓮は
我が家に籠る事になります。いいですね明慶様。」
咳ばらいをしながらなんとか平常心を保とうとする柳ヶ瀬の姿は可愛かった。
明慶は籠るという言葉を聞いて、無駄に反応してしまい真っ赤になった顔で
「おぉ、おぉぉぉ、かっ、かかっ、構わないよー。」
と、頑張って堪えている柳ヶ瀬の精神力を簡単にぶち壊す返事の仕方をした
真絹は控えている他のオメガに柳ヶ瀬を案内させ、自分の手元にある
もう1つのデータを見た。
「―――先ほど、3人と申しましたので、あと1人は・・・。」
眉間に皺をよせなんともハッキリしない真絹の物言いだ。
明慶も同じく眉間に皺をよせ、ジッと言葉が紡がれるのを待った。
「明慶、顔!そんな鬼みたいな顔で俺の可愛いハニーちゃんを見るな!」
自分の表情筋の硬さはそんなにも酷いのかと、今日ここへきて何度知らされた事か…。明慶はがっくりと項垂れて、そのまま暫く動かないことにした。
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