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「あの…続けてよろしいですか?」 真絹は段々明慶が気の毒になって来た。こんなにも酷いことばかり言われても怒ったりせずただただ受け入れる心の広さには驚いたが、それにしても、夫といい、柳ヶ瀬といい、言い過ぎだろうと。 「あ、あぁ、いいよ。続けて。」 もう先ほどの様な堅苦しい言葉遣いはどこかにやってしまったらしい。 「もう1つのデータは、明慶様です。お気づきになられていないようですが  急にフェロモン数値が上がっています。」 一瞬場が静まり返ってしまった、当然である、つまりは明慶の番がここにいるという事が証明されたことになるからだ。 だが、そもそもデータが3つしかないことがおかしい。 番と呼ばれるだけあって、ペアで反応していなければならないのだ。 明慶のオメガの反応は出ていないという。 「一体、どういう事なんだ?まきちゃんこんな事ってあるのか?」 今まで聞いたことない話である、オメガの事はオメガ自身が良く分かっているのだろうが、ある程度の事は上級アルファにも伝わっているはずなのだ。 芙蓉はジッと自分の膝を見ていた。驚くわけでも、困惑するわけでもない。 真絹もこの内容に関して驚いているふうもなかった。 ただ、困惑するアルファ達に申し訳なさそうな顔をするだけだった。 「実は、恐らくですが、明慶様が反応なされたのは芙蓉に対してだと思われま  す、そもそもこの上座に近づけた者は、私と木蓮、そして芙蓉しかおりませ  ん。そのうち、私はもう番っております、木蓮も相手が決まっておりました  なれば考えられるのは…この芙蓉だけなのです。」 真絹の言葉に竜聖が真っ先に反応し明慶を見た。 明慶は身体全体をロボットの様に動かし竜聖を見た。 真絹はそんな2人の反応を見ながら、芙蓉を見た。 芙蓉はまだ下を向いたままだった。
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