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自分から率先して話をしようとはしない芙蓉。ただ明慶の傍に居て時折明慶から漂う香りをスンスンと嗅いでは目を閉じジッと堪能しているようだった。
明慶も芙蓉から漂う香りを体いっぱいに取り込みながら彼の顔をコッソリと観察し、そのあまりの美しさに息をのみながらもなんとか欲望を抑え込んでいた
「・・・・・あっ。」
芙蓉が顔を真っ赤にし、俯いてぽそりと言葉を落とした。
明慶はどうしたのかと思い、彼に話しかける
「どうした?何かあったのか?」
静かな寝室は2人の声しか聞こえず、他の音など全く聞こえたりはしない
芙蓉が一体何に反応したのだろうと不思議だった。
「あ、明慶様の香りが・・・あの、ちょっと変わったので・・・それで、あの
つい、声が出てしまったのです。」
「匂いが変わったのか?え?臭い?おかしいな、ちゃんとお風呂には入った。
なんだろ・・・ハッ!か、加齢臭かっ!うそー、早いだろぉ・・・。」
明慶の的外れな答えにも芙蓉は、これがこの人の好い所なのだと理解していた
純粋で、真っすぐな人だという事は短時間でもわかっていた。
こんなにも男の香りで神経が落ち着いていく事など経験がなかったし、何よりこの香りに包まれていると安心できたからだ。
「ふふっ、違います。・・・その、何と言いますか・・・えと・・・」
言いにくそうにしている芙蓉に明慶はその先を促す。
心の中では、臭くなくてよかったー、と胸をなでおろしていたのだが。
「・・・・え、エッチな香りになりましたっ!」
芙蓉の可愛らしい唇から紡がれた言葉は、この場にいる純な2人にはフリーズするという選択肢しかなかった。
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