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「芙蓉、芙蓉?起きれるか?」
明慶は腕の中にいる愛おしい人の名を呼ぶ。
こうやって眠っている所を邪魔するのはなんだけど、でも特権を与えられたようで嬉しかったりもする。
「起きれるか?ですと?全くあなたは何を考えてるんですか!そんなになるま
でつき合わせるとは・・・野獣ですか!ったく・・・。」
柳ヶ瀬は完全に勘違いしているけれど、ただ眠るのが遅かっただけで、激しいスポーツ的なアレは一切していない。断じてそれはなかった。
ダークシルバーグリーンの髪をなでながら、名を呼んで覚醒を促す。
何度目かの呼びかけで芙蓉はモゾモゾと動き出した。
「・・・ん、あき、よし、さま・・・。」
寝ぼけているのだろう、甘えた声で目をゆっくりとパチパチさせながら明慶の顔を確認する。
目の前にはパーツのしっかりとした、眼差しの優しい極上のいい男が自分を見つめていた。
「おはよう、芙蓉。あ、いや、もうお昼だったな、お腹が空いただろう?」
お昼?明慶から言われた言葉を理解するのに多少の時間が掛かってしまった
しっかりと目を開け、周りを確認すると、言われた通り日が相当高い所まで昇っているようだった。
芙蓉は慌てて起き上がり、すぐそこに柳ヶ瀬がいる事にも気が付く。
「もっ、申し訳ございません。あぁ、僕なんで起きれなかったんだろう。」
慌てた様子の芙蓉は自分の夜着が乱れている事にも気づいていなかった
開けた夜着から見える細くて艶めかしい色白の肩は、昼間だというのに濃厚な夜を思わせる様な色香を漂わせている。
柳ヶ瀬はその様子を見て、これは仕方ないなと男として思った。
昨日の木蓮の乱れ具合もさることながら、これは男としては頑張ってしまわざるを得ない程、ドキッとしてしまったのだ。
とは言うものの、やはり自分の木蓮が1番だと柳ヶ瀬は心の中で思っていた。
昨晩の事を思い出すだけで、また彼女を連れて寝室に籠りたいと思ってしまうほど、濃厚で、濃密で、卑猥で、愛おしい夜だったのだ。
今朝は起きてここに来ることが本気で嫌だったのだが、次期将軍の側近として自分の欲に打ち勝ち、お迎えにあがったというのに・・・・。
この男は昼までイチャイチャと寝所に籠っているのだ、それは流石にイラっとしてしまっても仕方ないことだろう。
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