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「芙蓉、ゆっくり眠れましたか?」 ぼーっと花の事を考えていたら、真絹に声を掛けられびっくりしてしまった。 「っわ!まきにい、遅くなってごめんさない。」 思いのほか大きな声が出てしまった芙蓉は、逆に真絹を驚かせてしまったようで、お腹に手を当てて撫でていた。 「――いいんですよ、そんなの。ほら・・・やっぱり・・・ね?」 顔を赤らめながら真絹は何か言いたげなのだが、言えずにもごもごしている。 どう考えても真絹も柳ヶ瀬と同じことを考えているようで、芙蓉もつい顔を赤らめてしまった。ホントはなんにもなかったのに・・・。 後ろから現れた竜聖もなんだか意味ありげな視線を送ってくる。 キスだけで何もなかったと伝えるべきなんじゃないだろうか。 「あっきよしーっ!ついに男の子になってくれて俺はとっても嬉しいよ!」 竜聖は明慶の元へ行き、頭をガシガシと撫でまわし始めた。 そんな光景を見ていたら、ホントの事なんて今更言えないと、どんどん罪悪感が増していく。 チラリと明慶の方を見ると、明慶も同じように複雑な笑みを浮かべていた。 昨晩自分が彼を拒まなければ、この会話も恥ずかしいけどもっと気分よく聞けたのではないだろうか。 「芙蓉、昨日はごめんね。」 振り返るとそこには木蓮が立っており、昨日までの雰囲気となんだか違う気がした。 「木蓮、大丈夫だった?身体は?平気?」 芙蓉は木蓮の手を取り、調子を尋ねた。ヒートは個人差があり、ましてや未だしっかりとしたヒートを経験したことない芙蓉にとっては未知の世界。 ただ、学校ではとてもつらいという事だけは勉強してきているから、心配でならなかった。
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