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明慶の許しが出たことで、喜びを全開で表す芙蓉は、木蓮と真絹に向かって飛びついて行った。
その光景がまた可愛らしくてたまらない明慶は、一体これから先どれだけ彼に惚れこんでいくのだろうと困ったような幸せな悩みを抱えた。
「目つきが厭らしいんですよ、明慶様。いい加減にデレデレしたその顔
なんとかなりませんか?締まりのない。」
今、存分に芙蓉に見蕩れている大切な時間だというのに、この口の悪い側近は噛み締めている幸せを簡単に取り上げてしまう。
「きつい、柳ヶ瀬、きついよ。そんな事言わなくてもよくない?だって仕方な
いじゃないか!可愛いんだもん、もう、堪んないってくらい可愛いんだもん
俺の嫁ってめちゃくちゃ可愛くない?あー、見て!ほらあの顔・・・。」
柳ヶ瀬は明慶の口から出る言葉に、思いっきり眉間に皺をよせ言った。
「可愛いのはわかっています。ですが、我が妻の木蓮の方が可愛いです。」
「いや、違うな。まだまだお子様じゃないかー、うちのまきちゃんの大人の
美しさ、妖艶さ、しとやかさには劣るなー。はい、うちの妻優勝!!」
竜聖まで勝手に参戦してきて、家の妻自慢が始まってしまった。
3人が3人とも譲らない、間抜けな戦いなのだが相手に惚れこんでるこの男たちには、非常に大切な戦いになっていた。
アルファの闘争本能は凄まじく強い、しかも、この3人は中でもトップクラスのアルファ達だ。よって、”負け”などという事は微塵も思っていない。
牙をむき出しにして、相手を完膚なきまで叩きのめすっ!
1度火が付いた闘争本能はそう簡単には収まったりしない、おでこがくっつくほど近づきにらみ合いが始まってしまう。
この3人は昔から好みがバラバラで食べ物の好みすら違う。だからこそ今までうまくやって来れた、と言えばそうなのだが。
1度こうやって意見が割れてしまうと、収拾がつかなくなってしまう。
真絹はほのぼのとした空間からその様子を見ており、大きくため息を吐いた。
また始まったか・・・と。
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