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「あなた達っ!!いい加減にしてくださいっ!ここは睡蓮ですよ?そんな姿  これからの未来があるオメガ達に見せるつもりですかっ!」 腰に手を当て、力いっぱい怒鳴る真絹。こんな姿はここで一度たりとも見たことがなかった2人は思わずお互いの顔を見合ってしまう。 「ちがっ!まきちゃん、話を聞いて。だってさ、このおバカさん達が」 「竜聖、うるさい。」 夫の竜聖に”うるさい”の一言で黙らせてしまう辺りは流石それなりの年数を重ねた夫婦といったところか。 芙蓉も木蓮もこの”うるさい”は使えると、1つ勉強した。 「あなた方も、新妻の前で喧嘩などどういうおつもりですか?もし、竜聖に  合わせて下さっていたのなら謝ります、申し訳ございません。  わたくしの教育がまだまだ足らないのでしょう、ですが、もし、もしも  お互いにナチュラルな状態だったとするならば・・・まとめて教育します」 真絹の最後の殺し文句、”まとめて教育”という言葉に、明慶も柳ヶ瀬も肩をビクっとさせ、声も出さずに首だけ横に振り拒否の意思を伝える。 流石、この睡蓮を束ねているだけのことはある。竜聖はそんな真絹の姿を見て何故だかまた嬉しそうに微笑んでいる。 怒られたのに、笑ってるって、危なくない? 芙蓉は視線で木蓮に問う。木蓮も視線でうんうんと同意していた。 「真絹さん、これには深いわけがあります。聞いてください。」 柳ヶ瀬が神妙な面持ちで意見を述べる、彼が言えばなんとなく大事な話なんだなという気分になるから不思議だ。 「今、わたくし達は、自分の妻の可愛らしさについてそれはそれは熱く語って  いたのです。我々にとってこの事案はひいてはならない、男としての大事な  問題なのです。」 物凄く真面目な顔で、とんでもなくどうでもいい事を話しだした瞬間、木蓮は顔をぶわっっと真っ赤にし、真絹は眼球だけ上に向けて呆れた顔になった。 芙蓉は予想外の事だった為、思わず明慶に視線を向ける。 明慶は、どや顔で鼻の穴を膨らませながら芙蓉を見ていた。 もしかしたらこの国は滅びてしまうんじゃないだろうかと、一抹の不安を抱えたのは言うまでもない。 「どうですかっ!俺の木蓮だけが可愛らしい反応を見せたでしょ!!  つまり、花の様に愛らしいのは家の木蓮なんですよっ!!」 柳ヶ瀬が興奮気味で残りの2人に詰め寄っている。 竜聖はあきれ顔の真絹の表情に、またもや嬉しそうに反応している。 木蓮は、興奮気味の柳ヶ瀬の様子に、またまた顔を赤らめて下を向いていた。 結局、終始どうでもいい話で昼食の時間が終わってしまった・・・。
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