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蜜廊下の電気が準備出来るまでここで暫く待機することになった。 業者は既に手配済みだったので、あとは終了を待つだけだある。 芙蓉の緩くまとめた髪が解れているのを、木蓮が優しく手直ししている。 スッと目を閉じ、気持ちよさそうに髪をいじられている芙蓉はまた美しかった 長い睫毛がうっすらと影を作り、ほんのり赤く染まった頬を引き立てる。 くすぐったいのか心地よいのか木蓮の手に自分の手を絡めてウフフと笑い合う2人は、誰が見ても何処から見ても美しかった。 明慶は頬杖をつきながらその様子を見つめていた。 はぁ・・・なんって可愛いんだろう。あの小さくて細い指に自分の指を絡めたい、柔らかい髪に指を通してじゃれつきたい。 小さくて滑らかな顔を手の平で撫でて、美しい大きな瞳に自分の顔を映したい。熟れた果実の様に赤くぽってりとした唇に口付けたい。 服の中に隠されている初々しい実を思う存分食べつくしたい。 快楽に喘ぎ、歓喜と興奮の涙を流させたい。 自分にもああやって心から気を許して笑顔で応えて欲しい。 毎日抱きしめて、俺の香りを身体中に染み付けてしまいたい 俺の膝から一歩も降りられない程に俺に溺れさせたい・・・・。 明慶の中の愛おしいという感情はどんどん大きく膨らんでいく。 夜の艶めかしい想像も含め、彼を自分から離れられなくしたいという危ないまでの欲求は収まる事を知らない。 明慶から漂う香りに反応した芙蓉が、頬を染めてこちらを振り向いた。 羞恥が滲んでいるその表情も、明慶を煽るだけの材料に過ぎないというのに。 忙しなく左右に視線を泳がせ、モジモジと指先をこすり合わせる仕草も全てが 雄である明慶には毒である。 「?芙蓉?どうしたの?」 芙蓉の様子に気が付いた木蓮が顔を覗き込んでいる。 明慶は視線を外さない、頬杖をついたままただじっと愛おしい妻を見続ける 芙蓉も明慶からの視線を逸らせないでいる。 自分の吐息が段々甘くなっていくのも感じていたが、あの鋭く獲物を捕らえて離さない視線に抗うことが出来ないでいた。 「―――っボケっ!ここで発情すんじゃねーっ!!泣きそうになってるじゃ  ねーかよっ!!」 後ろから竜聖の鉄拳が勢いよく明慶の後頭部に直撃した。 「あいでっっ!!!」 ひじ掛けから勢いよく腕は落ちるわ、首は変な風に曲がるわで痛い事だらけになってしまった明慶。 だが、誰かが止めに入ってくれてよかったとも思っていた。 自制する事が段々できなくなってきているのだ、芙蓉の事になると。
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