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大きな廊下が延々とに伸びている様に感じた。
真ん中に真っすぐに通る幅の広い廊下は、綺麗に磨かれピカピカに輝いている
土足のまま進むらしいのだが、むしろこんなに綺麗に磨かれている所を汚れた靴で歩くのは申し訳ない気がして、歩が進まない。
「大丈夫だから、ちょっと歩いたぐらいでは汚れたりしない。芙蓉も木蓮も
さぁ、おいで。」
言われてみてふと隣を見れば、木蓮も同じように固まってしまっていた。
明慶も柳ヶ瀬も、初々しいパートナーの行動に思わず微笑んでしまう。
後ろからついて来た真絹に背を軽く押され、ようやく二人は動き出すことが出来た。
竜聖の家もここの居住スペースにあるので、毎日普通に通っている真絹にはもう見慣れた光景なのだ。
国の大事を担う人物はこうやってここでしっかりと身を守られている。
もちろん、柳ヶ瀬の家もここにあるのだが。
暫く歩いていくと、一際厳重に警備されている扉が見えてきた。
黒のスーツに身を包み、鋭い視線で周りを警戒する、警護のスペシャリストの中でも選ばれた人物たちがそこを常に監視している。
「ここから先が、俺達の家になる。この扉をくぐるにはこのブレスレットを
つけていないと通れないんだ。申し訳ないが、君たちもつけてくれ。」
明慶が自分の右腕を見せ、ピカピカと光るブレスレットを芙蓉達に差し出した
見れば、柳ヶ瀬も、竜聖も、真絹も同じようなものをつけていた。
ここに入るための、許されたものにだけ与えられる許可証。
「事前に登録は済ませてあります、ここのセンサーにこの面をかざしてくだ
さい、そうすればあの赤ランプがブルーに変わり、入れます。」
柳ヶ瀬が使い方を説明してくれ、お手本の様に自分の腕をかざした。
赤いランプが青に変わり、柳ヶ瀬本人であると、パネルに表示された。
「このブレスレットには遺伝子情報から、全部登録してあります。
つけている人間の皮膚の情報を常に読み取るので、自分じゃない人がコレを
使用することは出来ないようになっています。」
手首におさまるこんなオシャレなブレスレットがそんな高度な精密機械だとは驚いてしまう。
芙蓉は言われるまま手首をかざし、パネルに目をやると、そこに自分であることの表示が出た。
すると、今までそこに立っていた黒服の男たちが一斉に跪いて
「奥方様、お待ちしておりました。以後我々が貴方の身の安全を
お約束いたします。」
明慶以外のその場にいた全員が一斉に跪き、芙蓉の奥入りを喜んでいた。
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