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「芙蓉様のお荷物は今日中にはここに届きます。その際は木蓮が一緒に  参りますのでご心配なく。」 柳ヶ瀬の言葉に、緩くうなずくと、大きな窓へと寄っていった。 そこからも下の様子がうかがえて、まるで現実とはかけ離れているかのように感じてしまう。 「では、わたくしたちは我が家へと戻りますので、夕食になりましたらまた  お呼びいたします、あと、明慶様は今日の公務はこれにて終了ですので  ごゆるりとお過ごしください。」 柳ヶ瀬たちは頭を軽く下げ、芙蓉の部屋から出ていった。 今この部屋に残っているのは芙蓉と明慶だけ。 急にトクントクンと心臓が早鐘を打ち始めた、ついさっきまで人がそれなりにいたのに、急に2人っきりになるなんて心の準備が出来ていない。 「――――――っ」 なにか話そうにも言葉が出てこない芙蓉は、目を左右に動かしどうしたものかと焦ってしまうだけ。 「芙蓉、こっちへ。」 そんな彼の様子に明慶は笑いをこらえつつも、もう一つ教えておきたい場所を教えるために手をとった。 「この小さな扉の向こうに、蜜廊下がある、さぁ、開けてくれ。」 明慶に言われるまま、その扉を開けた。 人が2人並んで歩ける幅しかないが、一本道の様に真っすぐに続く廊下。 ドアを開けた瞬間にパッと灯る淡い緑の電球。 「ここを俺が通ったり、君が通って互いの寝室へかようんだ。」 言葉だけを聞けば、厭らしく感じるのだが、この空間を見ていると、なんとも高貴な雰囲気が漂ってきて、美しい行為にさえ感じてしまう。 「母もね・・・母も言っていた。自分は全てが初めてだから怖いという気持ち  の方が強くて、しかも急に国母になるなんて大それたこと出来ないって。  でも、父の一生懸命さに惹かれたし、父の真っすぐな気持ちには答えよう  と思ったと。俺も芙蓉にそう思ってもらえるように尽くしていく。」 蕩ける様な甘い香りが漂ってきて、芙蓉の頭はぼーっとしてきた。 この香りが好きだ、この香りに包まれると何も怖くないと思える。 「だから俺にお前だけを愛させてくれ、お前だけに心を尽くすことを  許してくれ。半分は国民や友達の事を想ってくれていい、でも残りの  半分は俺を想ってくれないか?」 見上げた先には極上のいい男が苦しそうに自分を見つめている。 芙蓉は簡単には頷けない問いに涙が溢れてくる。 嫌だと思ったことなどない、ただまだ分からない。 自分の気持ちも、子が成せる身体になるのかも。 近づいてくる顔が傾き、自分の唇と優しく重なる。 チュッと軽くリップ音を鳴らし、一瞬離れたかと思うと、今度は食らいつく様な深いキスが落とされる。 角度を変え肉厚な舌がにゅるりと口内に侵入し、芙蓉の身体はわからないゾクゾク感が這い上がってくる。 しっかりと彼にしがみ付いていないと、膝から力が抜けてしまいそうだ。 「んっ、んんっ、あふっ・・・。」 溺れてしまうそうだ・・・。 肉厚の舌は上あごをなぞるかのように動き、抱きしめられた大きな手の平は身体のラインを確かめる様に厭らしくなぞる。 鼻にかかった自分の厭らしい声に羞恥が増し、身体中の毛穴から汗が出そうなくらいに熱くなっていく。 壁に押し付けられたからだは痛みよりも心地よさを優先し、自分にむしゃぶりついてくる目の前の極上の雄をもっと誘惑しようと勝手に動く。 腰の辺りに変な疼きを感じ、立っている事に限界を感じた頃、股の間に太い太腿を割り入れ、崩れ落ちないようにと支えてくれるのだが、いい感じに芙蓉の小さな雄にあたり感じてしまう。
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