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明慶の性が欲しい・・・
明慶の性で溺れるほど満たされたい。
芙蓉の頭の中はこの欲でいっぱいになり、自ら足を明慶の胴に絡めより密着する。
瞳には、快感と欲のあまり涙が溜まっている。小さな子供がむずがるように体内を満たして欲しいと懇願の視線を送る。
まだ言葉にしてそれを頼むことは、芙蓉には出来なかった。
明慶は芙蓉のその様子で何が欲しいのかなんとなく察しはついていた。
だが、男なら言葉で聞きたい、”出して”の一言。
いや、しかし、芙蓉の様な清楚な人にこんな淫らな事を要求するのはいかがなものか・・・。
結局かすかに残っている理性が勝ち、欲しい言葉は次の機会に持ち越すことに決めた。
なにより、そろそろ明慶自身が限界に向かっていたのだ。
小刻みでリズミカルなピストン運動から、深く強いピストン運動に切り替え、スピードも上げていく。
入り口ギリギリまで引き抜くと一気に奥深くまで攻め立てる。
芙蓉の中はその動きに喜び、よりうねり、熱はどんどん増していく。
部屋中に響き渡る肌のぶつかる音と、繋がった部分からの水音は、クライマックスに向かうための音楽にさえ聞こえてくる。
「あ、あ、あぁ・・・も、やっ、おっきぃ・・・」
絶頂を迎える前に雄が一際大きくなったのを感じた芙蓉は、身体中から沸き起こるゾクゾクとした快感に酔い痺れる。
「―――――――っ!」
一番奥まで一気に突き立てられ、その瞬間温かくて大量の液体が勢いよく体内を駆け巡った。
指の先まで痺れていく感覚、自分を組み敷いている男が眉間に皺を寄せ、切なそうな気持ちよさそうな何とも言えない色っぽい表情を見せる。
アルファの射精は長い、大量の精子を送り込むためなかなか終わらない。
ビクンビクンと体内で波打ちながら性を送り込む雄に、芙蓉は心地よさを感じていた。
身体もの隅々まで明慶の性が染みわたっていく様な感覚。
甘くて、熱くて、幸せだと感じてしまう。
長い長い射精がおわりに近づくと、明慶は何度か腰を動かし、最後の一滴まで注ぎ込む。
既に結合部からは受け止め切れなかった液が少ない隙間から漏れ出している。
お腹の奥底が熱いもので満たされていく感覚は、子供を成せるものにとっては何とも言えない幸福感に溢れるのだろう。
芙蓉は、今の自分にどれだけの性が注がれたとしても子をなすことができない事に初めて歯がゆさというか、悔しさを感じた。
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