クレイブンの魔法使い

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「知っているには知っているが、その魔法使いに何の用だ」 さっきまでと違い、カシム叔父さんの声は少しトーンが下がっていた。 「黒いオートモービルで移動しながら数日街に滞在して、また次の街に移動する占い師らしい」 僕は叔父さんの話に如何わしさを感じて、俯いた。 「占い自体は別に怪しいモンでもなくて、ごく普通の占いみたいだ。若い少女の間で噂になって、所謂恋占いだな…。しかし、その占い師が言う通りにするとその恋が成就するって事らしいんだ…」 僕はそれを訊いて安心した。 もっと怪しいモノだと想像していたのだが、単なる恋占いだった。 「だけどな、妙な噂もある。恋を成就させると、少女たちはその代償を支払う事になる」 代償…。 お金…。 「いや、その時々でその代償は違っていて、ある者はお金、ある者は身体、そして親や記憶なんて話もあったな」 記憶…。 僕はシエラの顔が浮かんだ。 そのクレイブンの魔法使いは今何処に居るか知らない…。 僕はカシム叔父さんに訊く。
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