1人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ白な雪が、しんしんと落ちてくる。
夜の屋台からは温かな光が漏れて、人々の白い吐息が浮かび上がっていた。
わたしは、この村で四年に一度きりの盛大なお祭りである雪祭りに来ていた。
隣にはもうあれから四年の付き合いになる
大事な大事な友達がいる。
彼が純粋にお祭りを楽しんでいるのを見ると、無性に悲しく、切なく感じた。
お祭りはこんなにも暖かいのに、行き交う人々はみんなポカポカしているのに、、、
心の奥で氷が割れるような音がする。
雪が心を、冷たく、冷たくしていた。
わたしにはもう時間がない。そう思うと、胸をつんざかれるような気持ちになる。
「あ、佐奈。射的やってかない?」
彼は、ほんとうに楽しんでいるように見えた。
彼に、言わなきゃいけないことがある。
今まで言えなかった、たった5文字。
「さようなら。」って。
「いいよ。行こう!」
涙に負けない精一杯の笑顔で彼に言った。
最初のコメントを投稿しよう!