君(きみ)

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「僕がとてつもなく優しいこと、とか?」 試しに冗談を言ってみる。 「うん、もちろんそれもあるよ。」 意外だった。てっきり、もう、なに言ってるの和温ったらー。って感じではぐらかされると思っていたのに、こうやって素直に褒められると恥ずかしい。 「でも、それ以上にさ、、、」 彼女の目はトロリとしていた。何かに心を奪われていると言った感じだった。 「雪ってこんなに綺麗だったんだなーって。」 僕は辺りをぐるりと見回す。確かに、空から落ちてくる雪は綺麗だった。 でもきっと、僕に見えている雪と彼女に見えている雪は同じようで違う。 「きっと雪がこんなに綺麗だってこと、和温が来てくれなかったら気づけなかった。和温は私のことをあったかくしてくれた。 寂しさで冷たくなっていた私の心を溶かしてくれたんだ。雪ってすごく温かいんだなって思った。」 雪が温かい、、、か。 そんなことは考えたこともなかった。 でもどこかで、確かにと納得している自分がいた。 僕らはしばらくの間、雪の落ちてくるのを、肩を寄せ合って眺めていた。
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