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「ある程度は、世の中ってものに寄り添っていかないと、完全に孤立したらもうただの、変な人で終わってしまいます」 「俺は本来はただの変な人だ。でも君が現代の世の中との橋渡しをしてくれるおかげで、いくつか曲がヒットした。全く君の感性のおかげだ」 彼女がココアを飲む。スマッシュヒットした曲を思い出した。 ホットココア 朝早く寒い日が続く 君の朝食と弁当を作るために 早起きをしようと思うが 毛布にくるまって 君の寝顔をずっとみていたい 昨日の喧嘩でソファーの上は 雑誌やら服やらが散らかっていて 一つ一つ手にとっては 全部ゴミ箱に突っ込んでやろう カーテンを開けると 窓が結露していた 指でアンパンマンの似顔絵を描く お湯が沸いたらホットココアでも飲もう 食事と弁当の準備をする トーストにヨーグルト 果物と野菜ジュース 弁当は昨日の残りと冷凍物 どうしてこんなことしてるのかわからない 君は黙って飲んで帰ってきて ベラベラと食べたものを列挙した うまかったんですか、よかったですね 入れたてのホットココアを持って 君隣にちょこんと座り 少し飲んでからマグカップを 君の頬に押し付けた 君はビクッと体を震わせたが 何事もなかったように また毛布にくるまった。 寒いことはわかっていたけど 窓をあけはなって、冷気を入れた 心の中が少し透明になった またホットココアをいれなおした 飲料系のCMソングを頼まれたときに書いた曲だ。直接的すぎるかなと思ったが、それなりにスマッシュヒットした。なんども言うようだがみな甘ったるい曲が好きだ。もちろん彼女の協力なしでは着想さえなかった。
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