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鍵を外して蓋を開ける。
ああ、やっぱり。ぐちゃぐちゃに絡まって手の施しようがない。けれどそれは私にしか分からない。
欲しいものはと聞かれれば、口から滑り出るいくつかのもの。両手の指で足りる位のそれは結局、なくても生きてこられたし、これからなくても生きていける。じゃあそれは本当に欲しいものではないのだろう。
心から欲して止まないものは、ないといつか死んでしまう。飢えて渇いて死んでしまう。
この感覚は誤りだろうか。
私は誰にも見つからないように、そっと蓋を閉めた。
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