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フリーマーケットへと足を運ぶ人間たちの目的は、いったい何なのだろう。少女はふと、歩きながら考える。色んな目的をもってやってくる人がいるのだろう。フリーマーケットと一口で言っても、地元のもの、もっと大型イベントとしてのものかによってもきっと異なるはずだ。
私は。少女は自分に問いかける。私は一体何のためにここへやってきたのだろう。ただ流れるように、流されるように、やってきた。何のために。何かとの縁を求めて。それはモノとの縁かもしれないし、人との縁なのかもしれない。何かに出会いたい。何かと縁を結ぶきっかけがあれば嬉しい。そんな気持ちで、ここへやってきた。こんなに足早にスペースを駆け抜けていても分かる。自分が求めているものは、通り過ぎてきた店の中には、未だ存在しないのだと。
本屋さんへ、好きな作家さんの本を買いに来たように強い目的意識を持ってきたわけではないけれど。何か突き動かされるように、人々の喧騒を駆け抜けて次々と店を回っていく。
そして、見つけた。「求めていた何か」を。
その店は雑然とした風景の中に、急に現れた一輪の花のごとく彼女の目に留まった。そして、少女は感じた。ここに、自分が今日このフリーマーケットを訪れた意味があるのだと。
……そこで彼女が見つけたもの。それは、彼女だけが知る物語。
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