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田舎フリーマーケット
少女は眼前に広がる、無造作に連なるブルーシートの群れを見つめた。普段は人工芝が隙間なく敷き詰められている公園。しかし今日は、隙間ない青が広がっていた。
一か月に一度この公園で開かれる、地元の小さなフリーマーケット。別に、来たいと思って来たわけではない。父親が自分ひとりで行くのは寂しいから、そう言って少女を連れてやってきた、それだけのことである。
父親と待ち合わせ時間を取り決め、少女は少し軽い足取りで、群青の群れへと足を踏み入れる。普段は学校の日以外は外に出たがらない彼女だが、一度外に出てしまえばフリーマーケットと名づけられた空間そのものに触れることは、嫌いではなかった。
思えば幼き頃からたくさんのフリーマーケットへ足を運んだものだ、と心の中で呟きながら少女は、行く先左右に広がるブルーシートの上に雑多に並べられた商品やその商品を眺める客、そして今日は店員役を務める人々を眺めながら足早に通り過ぎていく。段ボールに乱雑な字で書かれた価格表をしり目に、ただ漠然と、何か自分が欲するものがないかを物色する。
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